2ndレンジローバー整備事例
〜本来の安心感と、至上の走行感を維持するために〜
●右フロント エアーサスペンション Oリング交換
1998年 E-LP46D
この車両は一晩、駐車していると車高が下がるという症状で入庫しました。リークテストの結果、右フロントのエアーサスペンションとエアーパイプの繋ぎ目からリークを確認できました。この繋ぎ目にはエアー漏れを防止する Oリングが取り付けられていますが、経年劣化により変形し、その僅かな隙間からエアーが漏れていたようです。今回のようにエアーが漏れている状態で使用していると、空気を吸い込むコンプレッサーが過度に動くことで熱を持ち、故障することも考えられるので、早めの点検をお勧めします。
●フロントデファレンシャルベアリング交換
2001年 GF-LP60D
デファレンシャルはコーナリングなどで、コーナーの外側を走るタイヤの距離と内側のタイヤが走る距離が異なる際に発生する、左右駆動輪の回転差を調整し、スムーズな旋回を補助するための装置です。このデファレンシャル内部にはベアリングと呼ばれる部品が取り付けられていますが、何らかの理由でベアリングが磨耗し走行中に異音を発生させるケースがあります。この車両に取り付けられていたベアリングも取り出してみると磨耗の跡があり、それが原因で異音が発生していたと考えられます。異音を放置しておくと、ひどい場合はデファレンシャルギアの交換となる場合もあるので注意が必要です。
●コイルサスペンション変更
2000年 GF-LP60D
コイルサスペンション変更です。
2ndレンジローバーには通常エアーサスペンションが取り付けられていますが、定期的に交換が必要であったり、故障のリスクもあるので、コイルサスペンションに交換するオーナーさんもいます。コイルサスペンションに変更した場合は機械トラブルの心配も無くなるので、そう言った点ではお勧めです。レンジニアスでは、レンジローバーらしい優雅な乗り心地をなるべく損なわないようにと、コイルサスペンションに交換する際は、同時にショックアブソーバーの交換も推奨しております。サスペンションを変更した場合、陸運局に構造変更の届け出が必要となりますが、書類作成から届け出まで代行することも可能です。
●スタビライザーリンク交換
2000年 GF-LP60D
スタビライザーは(車両の左右を繋ぐロッド)アンチロールバーとも呼ばれ、名前の通り自動車がカーブを走行する際などにロールを抑える役割を果たしています。今回交換するスタビライザーリンクは、スタビライザーの両端に取り付けられており、車両に固定する部分は、車両の上下左右の動きに対応できるよう360度可動できる作りになっています。経年劣化によってリンクにガタが発生してくると、段差を超えた際や路面の凹凸によって異音(ゴトゴト)が発生するケースが多いです。異音は一度気になるとずっと気になってしまうもの。オーナーさんの異音が気になるという悩みを解決するべく、ロードテストでは耳を澄まし、経験とこれまでのノウハウから予測を立て部品を交換していきます。レンジローバーで快適なドライブを楽しんでもらうためにも、重要な作業です。
●ブレーキアキュムレーター交換
2000年 GF-LP60D
ブレーキアキュムレーター内には高圧ガスが貯められており、この高圧ガスが常にブレーキフルードに圧力をかける事によって、ブレーキ制御を行っています。通常、ブレーキアキュムレーター内の圧力は4〜5回程度で空になり、空になるとABSポンプによって「ブーン」という音と共に圧力が貯められますが、劣化してくるとその回数が、3回、2回、1回と徐々に少なくなっていきます。そうなるとABSポンプの動作回数が増え、最悪の場合はABSポンプの故障に繋がります。故障した場合、かなり強くブレーキを踏んでもようやく停止できるほど、ブレーキの効きが悪くなります。この状態で運転することは非常に危険であり、ほとんどの場合はレッカーで搬送されます。今乗っている車のアキュムレーターが何回で圧力を貯め始めるか、常に気にかけておく事が大切です。1〜2回で圧力を貯め直すようであれば、交換を推奨します。まだ大丈夫と思って先延ばしにすると、安全面だけでなくABSポンプの故障にも繋がり、余計な出費となってしまうことも考えられますので、交換時期の先延ばしはNG です。
●ABSセンサー交換
2002年 GF-LP60D
自動車のブレーキ制御をしているABS(アンチロックブレーキングシステム)は四輪の状態を常時センサーを用いて監視しています。この監視の役目を果たしているのがABSセンサーで、ABSセンサーから送られてくる情報をもとにABS ECU(司令部)で走行状況に合わせたブレーキの制御を行います。当然ながらABSセンサーが故障した場合は、ABSが正常に動作できなくなるので非常に危険です。ABSに異常がある場合は、ABSの警告灯がメーターパネル内で点灯し異常を知らせてくれるので、警告灯が出た場合、走行は控えて早急に整備工場へ入庫することをお勧めします。
●ラジアスアームブッシュ交換
1996年 E-LP46D
ラジアスアームは車体の前輪から車体中間あたりまで、縦に取り付けられている部品で、直進安定性をサポートする役割を担っています。アーム自体は金属製ですが、末端部分にはブッシュと呼ばれるゴム製の緩衝材が取り付けられており、ゴム製のため経年劣化を起こし形が変形してしまいます。すると左右のラジアスアームのバランスが崩れ、走行中に左右どちらかに車体が流れてしまうなどの症状が出ます。ブッシュが磨耗しすぎるとステアリングを切った際などに異音が発生することもあるので、気になる方は一度点検をお勧めします。
●ブレーキホース交換
1996年 E-LP46D
ブレーキホースはマスターシリンダーからブレーキキャリパまでブレーキフルード(オイル)を運搬するための大切なホースです。ブレーキフルードは途中までブレーキパイプ(鉄製)内を通り運搬されますが、ブレーキキャリパ近くの末端部分では足回りの動きに柔軟に対応できるようホース(ゴム製)が使われています。この車両にはブレーキホースにメッシュタイプのホースが取り付けられていましたが、通常の物より材質が硬くレンジローバーのように、エアサスペンションで車高が上下する自動車には不向きでもあります。車高の上下動に合わせてブレーキホースも動くため、硬い材質では柔軟性が低く亀裂が入ったりしやすくなる為です。また長期間、交換履歴がない場合などホースが破れブレーキフルードが漏れる危険性もあるので注意が必要です。
●ブレーキ装置リフレッシュ
2001年 GF-LP60D
2ndレンジローバーのブレーキ装置リフレッシュ作業です。一つ目はブレーキキャリパーオーバーホール(以下、OH)、そして二つ目はブレーキホースの交換です。どちらも自動車の三原則である「走る・曲がる・止まる」の内、止まる役割を果たす重要な部品です。ブレーキキャリパーを構成する部品の一つにピストンがあります。ブレーキを踏むとマスターシリンダーによって増圧されたブレーキフルードがブレーキパイプ、ブレーキホースを伝ってブレーキキャリパーに運ばれてきます。ブレーキキャリパーにはピストンが付いており、このピストンがブレーキフルードに押されることで、ブレーキパッドが飛び出しブレーキディスクとの摩擦で自動車は停止する事ができます。このピストンの周りにはピストンリングと呼ばれるゴム製のリングが取りつけられていますが、このリングが劣化することによってオイル洩れを引き起こしたり、ピストンが正常に動作しないなどの原因となります。ブレーキホースはブレーキフルードの通り道ですが、劣化によりホースが破れオイル洩れを起こしたりする危険性があるため、消耗品として定期的に交換が必要です。
●ショックアブソーバー交換
1997年 E-LP46D
2ndレンジローバーのショックアブソーバー交換です。ショックアブソーバーは前後合わせて4箇所に取り付けられている部品です。ショックアブソーバーの主な役割は走行中に路面から受ける衝撃を緩衝し和らげること、またカーブを曲がった時、発車、停車した時など自動車が遠心力により傾きますが、その傾きを和らげゆっくりと元に戻す役割も担っています。ショックアブソーバーが劣化してくると乗り心地に影響が出ます。今まで気にならなかった段差での衝撃を顕著に感じるようになったり、カーブを曲がる際に今までよりもロールが気になるなど相当のストレスです。一番足回りで効果を実感しやすいパーツでもあるので、足回りのリフレッシュをご検討している方にはお勧めの作業です。
●ナックルエンドボールジョイント交換
2001年 GF-LP60D
2ndレンジローバーのナックルエンドボールジョイント交換です。ナックルエンドボールジョイントはフロントサスペンションが上下左右にスムーズに動くよう取り付けられている部品で、上下に一つずつ(上ボールジョイントアッパー、下ボールジョイントロア)取り付けられています。(画像参照)その他にも段差を超えた際の緩衝装置としての役割も果たしています。通常ボールジョイント内部はグリスで満たされ磨耗しにくくなっていますが、経年劣化によりブーツ(ジョイント部のカバー)が破れグリスが飛び出し、破れた所から水やゴミが侵入してしまいます。そのまま使い続けるとグリスが無いため磨耗が激しく進行したり、錆が発生しジョイントの固着や異音を引き起こします。またブーツが破れていると車検を通すことができないので交換必須のパーツです。
●トラックロッド交換
2001年 GF-LP60D
2ndレンジローバーのトラックロッド交換です。トラックロッドとは左右の前タイヤに繋がる一本のロッド(棒)で、ロッドの端にはボールジョイントがあり、その上にはカバーとしてブーツと呼ばれるものが付いています。トラックロッドの役割は直進走行の安定性を保つことで、車検を通す際に必ず必要なパーツです。トラックロッドが劣化してくるとブーツが破れ水分が侵入しボールジョイント部分に錆が発生します。錆によってジョイント部分が固着しステアリングを切った際や段差を越える時など異音やガタつき原因となります。ブーツに切れが入っていると車検も通らないので、異音等が発生している場合は早めの交換をお勧めします。
●エアサスペンション バルブブロックオーバーホール
1996年 E-LP46D
車高が勝手に上がってしまうという症状で入庫した2ndレンジローバーの整備です。
まずは走行中にテスターを繋ぎながらリアルタイムでエアサスの状況をチェックします。車高が上がってきたタイミングでエアサスECU(エアサスの司令塔)は排気の指示を出しているが、実際に車高は下がっていない。考えられる原因はいくつかありますが、一番簡易的にできるECUのテスト交換をします。これで症状が治れば、そもそも吸気、排気の指示を出しているECUに問題があったと特定できますが症状は改善されず。その後も仮説と検証を繰り返し、最終的にバルブブロックのオーバーホールで症状は改善されました。バルブブロックの中には約50個ものOリングが使われており、それが劣化することによってエア漏れや詰まりを引き起こしてしまいます。
●ブレーキシステムリフレッシュ作業
2001年 GF-LP60D
2ndレンジローバーのブレーキシステムリフレッシュ作業です。作業内容はブレーキローターとパッドの交換になります。どちらも消耗品なので走行距離に応じて交換が必須となる部品です。本当に稀なケースですが、長期間パッドやローターを交換せず、パッドが完全に磨耗してから異変に気づき、自走できない為にレッカー入庫されたケースもあるので、二年に一度の車検だけでなく12か月点検も利用し、毎年しっかりと専門店などで確認してもらうことをお勧めします。ブレーキの日常点検として、①ブレーキアキュムレーターの動作頻度を日頃から確認。2回以下で作動する場合は交換のサインです。②ブレーキを踏んでいないのにブレーキ鳴きのような音がする場合は、ブレーキキャリパー内のピストンリングの劣化が考えられます。こちらは交換とブレーキキャリパーのオーバーホールをお勧めします。