3rdレンジローバー整備事例
〜本来の安心感と、至上の走行感を維持するために〜
●スターターモーター交換
2005年 ABA-LM44
エンジンを始動するためには外力によってクランクシャフトを回し「吸気、圧縮、燃焼、排気」という各工程をエンジン内部で成立させなければなりませんが、その外力となるのがスターターモーターです。まさに名前の通りエンジンのスタート役割を担っています。エンジンの ON/OFF回数によって個体差もありますが、パーツの平均的な寿命は約 10年 10万 km程度です。エンジン始動の回数が多ければ多いほど部品の劣化や磨耗も早まります。劣化症状としてはエンジンのかかりが遅くなるなど毎回確認できるポイントなので、症状にも気づきやすいかも知れません。突然エンジンがかからなくなることもあるので、劣化症状が出たら早めの交換を推奨します。
●ラジエターサブタンク交換
2005年 GH-LM44
ラジエターサブタンクはエンジンルームの手前右側に取り付けられている部品で、クーラントの注ぎ口でもあり、日常点検ではクーラント量を確認するための部品でもあります。サブタンクはエンジンが始動中、常に高い内圧が掛かっているため、長期間交換をしないとサブタンクからクーラント漏れを引き起こします。クーラント漏れを起こすとサブタンクの周りに白い跡が残っていたりするので、日常点検で確認することをお勧めします。
●ロアホース&ラジエターアウトレット温度センサー交換
2003年 GH-LM44
ロアホースは冷却系ホースの一つで経年劣化による硬化やひび割れ、また取り付け口内側についているOリング(ゴム製)の劣化によりクーラント漏れに繋がりやすい部品です。前期の3rdレンジローバーの弱点でもあり、冷却系ホースは消耗品として定期的に交換をお勧めします。ラジエターアウトレット温度センサーはラジエターで冷却されたクーラントの水温を監視しているパーツです。通常クーラントはラジエターを通り冷却され、再びエンジンに循環されますが、この冷却が正常にされていないと、エンジンのオーバーヒートに繋がる危険性があります。そのため冷却されたクーラントの水温を監視する必要があります。この部品も取り付け口にOリングが取り付けられているため、劣化してクーラント漏れが起こらないよう定期的に交換が必要となります。冷却系ホースの交換を長期間(約10年程度)していない場合はクーラント漏れは起こる前に交換をお勧めします。
●エアフロセンサー、O2センサー交換
2007年 ABA-LM42S
この車両はエンジンチェックランプ点灯後、アイドリング不良などの症状で入庫しました。
入庫後のテスター診断の結果、エアフロセンサーとO2センサーに故障コードが確認できた為、どちらも新品純正パーツと交換します。今回故障した二つの部品ですが、エアフロセンサーは空気の吸入量を監視しているセンサーで、データをECU(エンジンコントロールユニット)へ送信し、そのデータをもとに燃料の噴射量を制御しています。O2センサーは排気ガス内に残る酸素量を監視している部品で、排ガス中の酸素量をもとに燃料の噴射量を制御しています。どちらのパーツも故障してしまうとECUが燃料の噴射量を制御できずに燃焼効率が低下したり、アイドリング不良が発生してしまいます。エンジンチェックランプが点灯した場合は早めの対処をお勧めします。
●デュアルクーラントバルブ交換
2003年 GH-LM44
デュアルクーラントバルブとは、エアコンディショニングを構成する部品の一つで主にクーラントの流量を制御しています。エアコンの設定温度は、エアコンガス(冷)とクーラント(温)の割合を調節し、設定された温度で送風していますが、クーラントの流用を調整しているのがデュアルクーラントバルブです。このクーラントバルブが故障すると、バルブが常に閉じた状態になってしまうため、クーラントを送り出すことができず、車内では温風が使用できなくなってしまいます。3rdレンジローバーのエアコン不良でクーラントバルブが原因の故障は症例が多いこともあり、今現在、温風が出ないという方も、クーラントバルブが原因かもしれません、自覚症状のある方は交換をお勧めします。
●カムカバー、フロントカバー ガスケット交換
2002年 GH-LM44
エンジンのシリンダーブロックとヘットカバーやフロントカバーの間にはオイル洩れを防ぐためにゴム製のガスケットと呼ばれる部品が挟み込まれています。ガスケットのおかげでシリンダーブロックと各カバーの間を密閉していますが、ゴム製の部品のため、熱や経年劣化で変形してしまいます。その結果、わずかな隙間から内圧に押し出されたオイルが滲んでくるのです。当然オイルの滲みを放置しといて良いことはありません。エンジンオイルが基準量を下回るだけでなく、ごくまれですが、インテークマニホールドの中に入り込み混合気と一緒に燃焼され、排気ガスが白煙となる場合もありますので注意が必要です。レンジニアスに入庫するほとんどの車両に同じような症状が確認できます。10年を一つの目安に整備をしていくのが理想的です。
●ウォーターギャラリー整備
2002年 GH-LM44
3rdレンジローバー(BMWエンジン)の弱点とも言えるのが冷却系ですが、今回はウォーターギャラリーと呼ばれる、エンジン真ん中あたりに位置する部分の整備です。ここにはウォーターギャラリープレートを始め、インテークマニホールドのガスケットやOリングをなど冷却系の需要な消耗品が多く使われております。当然消耗品のため経年劣化していきますが、製造から10年以上経過し、この部分からクーラント漏れを引き起こしている車両が多いです。水周りを一新するにはちょうど良い時期かも知れません。この車両も他機関の不具合で入庫しましたが、点検でクーラント漏れが確認できたので同時に作業することになりました。他にも水周りの定番といえばクーラントホースやラジエターがあります。エンジンを冷却する重要な部品ですので、長年交換歴がない方は予防整備の意味を含めて、水周りの一新をお勧めします。
●ラジエター&クーラントホース交換
2003年 GH-LM44
この3rdレンジは「COOLANT LOW」のフォルトが入り入庫。点検の結果はラジエターからクーラントが漏れていて、そのためフォルトが入っていました。ラジエターはエンジンなど各機関で高温になったクーラント(冷却水)を冷やす役割をしています。ラジエターには細かい網目のような水路があり、そこをクーラントが通りラジエターファンと走行中の風が当たることによって冷却され、再びエンジン始め各機関に循環されます。経年劣化によりラジエター内で詰まりが発生する事や、ラジエターからクーラントが漏れる事もあり、そうなるとクーラントが基準量を下回るだけでなく、循環が上手にされずオーバーヒートを引き起こす原因になります。突発的に起こるトラブルとして、ラジエターに繋がっているクーラントホースが抜け走行不能になる事もあるので注意が必要です。この場合ホース自体の劣化もありますが、ラジエター側の劣化により引き起こされるケースもあります。3rdレンジの特にBMWエンジンは水周りが脆弱で、このようなリスクを持つ車両は少なくありません。 日頃からの確認を推奨します。
●冷却系 予防整備
2004年 GH-LM44
3rdレンジローバーの水周り整備です。レンジニアスでは入庫して下さるほとんどのオーナさんにご提案している水周りの整備ですが、街中を走る多くの3rdレンジローバーも水漏れのリスクを抱えています。劣化したクーラントホースが抜けてしまい走行不能になるなど、冷却水漏れは突発的に起こるケースもあるので予防整備をお勧めします。最悪の場合エンジンのオーバーヒートに繋がる可能性もあるので注意が必要。また、冷却水漏れは見た目で分かる異変もあり、ぜひオーナーさんには日常点検でも確認して頂きたいポイントです。①サブタンクのメモリが下がっていないか?②ホースの膨らみや変色等は無いか?③駐車場では車の下に水漏れの跡が無いか?④エンジンルームを開けた時に甘い匂いはしないか?など定期的に点検しましょう。今回の作業は、ウォーターギャラリー(水路の要)からのクーラント滲み、ウォータポンプの劣化(水の循環機)が点検で見つかったので交換、同時作業でインマニガスケット交換、クーラントホースは予防整備としてホース一式を交換しました。
●カムカバー・フロントカバーガスケット交換
2004年 GH-LM44
3rdレンジローバー、カムカバー、フロントカバーのガスケット交換です。多くの3rdレンジローバーに見られるエンジン上部からのオイル漏れ。発表から早15年近く経過し経年劣化として当然と言える症状ですが、中古車だから仕方ないという考えは危険です。特に多く見られる部位がこのカムカバーとフロントカバーからのオイル漏れです。入庫してくるほとんどの車両に見られる症状で根本的な原因は各カバーとブロックの間に挟まれているガスケットが劣化しオイル漏れを引き起こします。オイル漏れを放置していると規定量からオイルが減ってしまうばかりでなく、時にはエキゾーストマニホールド(排気管)へ混入したオイルが焼けてしまいエンジンルームから煙を発生させる心配もあります。また同時交換としてタイミングチェーン、チェーンテンショナー、VANOS(カムシャフトコントロールシステム)の交換もお勧めしております。外す機会が少ない場所なのでレンジニアスではこの作業をするとき内部洗浄を必ず行い、長年の汚れを綺麗にしてから元に戻します。
●イグニッションコイル交換
2003年 GH-LM44
3rdレンジローバーのイグニッションコイル交換です。イグニッションコイルは燃焼室内の混合気を燃焼させるためにスパークプラグへ電気を供給する装置です。このイグニッションコイルに劣化や異常が出ると、ミスファイア(点火不良)が起こり、エンジンのかかりが悪い、アイドリングが不安定、加速しようとしてもフケない、エンジンストールなどの症状が出てきます。イグニッションコイルの平均的な寿命は10年10万kmが一つの目安となりますが、一台一台個体差があるので自覚症状があれば早めの交換が大事です。3rdレンジローバーBMWエンジンの場合だとスパークプラグよりもイグニッションコイルに不具合が生じミスファイアを引き起こす傾向が高いです。スパークプラグの劣化によりイグニッションコイルに高負荷をかけ劣化を早める可能性もあるので同時にプラグも予防整備で交換することを推奨します。
●ラジエター交換
2003年 GH-LM44
3rdレンジローバーのラジエター交換です。交換するのはBMWエンジンを搭載した通称前期モデルの3rdレンジローバーですが、弱点は何と言っても冷却系です。クーラントホースの劣化や、サーモスタットの詰まりなどで突如走行不能に陥るトラブルも少なくありません。今回交換するラジエターはエンジンで熱されたクーラント(冷却水)を冷やす役割を担っていますが、ラジエター内で詰まりが発生し冷やされたクーラントが上手にエンジンを始め各機関に循環されない事や、劣化によりラジエター自体からクーラント漏れを引き起こす事もありますので、消耗品という認識で定期的に交換が必要な部品です。現在ではOEM品(社外品)も数多く流通しラジエターの信頼性にも個体差がありますが、レンジニアスでは様々なメーカーのOEM品をテストし、信頼性の高いOEM品を採用しております。
●ウォーターポンプ交換
2005年 GH-LM44
3rdレンジローバーのウォータポンプ交換です。エンジンの熱で高温になったクーラント(冷却水)はラジエーターで冷却され再びエンジンや各機関に循環しますが、この時クーラントの循環役を担うのがウォーターポンプです。クランクシャフトの回転から得た動力をプーリーからウォーターポンプに伝え、ウォーターポンプ内のインベラー(プロペラのような物)が回転する際に発生する遠心力によってクーラントを循環させる仕組みです。ウォーターポンプが劣化してくると異音が発生する事や、軸の部分にわずかに隙間ができクーラント漏れを起こす事もあります。今回はウォータポンプガスケットの劣化によりクーラント漏れを起こしていることが確認できました。劣化を放置していると最悪の場合はエンジンのオーバーヒートにも繋がる危険性もあるので注意が必要です。
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