クラシックレンジローバー整備事例

〜本来の安心感と、至上の走行感を維持するために〜

●ウォーターポンプ交換

1994年 E-LH36D


ウォーターポンプはエンジンを始めとした各機関へクーラント(冷却水)を循環する役割を果たしています。ウォーターポンプが劣化してくると循環能力も低下しますが、ウォーターポンプ自体からクーラントが滲んだり、漏れてくるケースがあります。またウォーターポンプには冷却ファンが取り付けられており、劣化してくると冷却ファンが回る軸の部分にガタが生まれ異音などの原因にもなります。目視で確認できる位置に取り付けられているので、クーラントの量と合わせて確認しておきたいポイントです。  



●ラジエタープラグ交換

1994年 E-LH40D


この車両は走行中にラジエターのプラグからクーラントが吹き出し、走行不能となってレッカー入庫しました。破損したのはラジエタープラグで、材質が樹脂製のため熱による変形や経年劣化により、破損するケースがあります。このプラグが破損するとラジエター内を循環しているクーラントが吹き出してしまうため、最悪の場合エンジンのオーバーヒートにつながる危険性があります。今回のように突如破損する前に定期的に交換が必要な部品であり、日頃からクーラントの漏れ跡が無いか?異常は無いか?チェックすることをお勧めします。今回はクーラントの交換も含め作業を行いました。



●インテークマニホールドガスケット交換

1994年 E-LH40D


インテークマニホールドはエンジンの燃焼室内に空気を供給するために取り付けられている多岐管です。エンジンブロックとインテークマニホールドの間にはクーラント漏れやオイル洩れを防止するガスケットと呼ばれる部品が挟まれていますが、経年劣化と共に変形してしまい、そこからクーラントやオイル洩れが発生します。クラシックレンジローバーや2ndレンジローバーであれば、ほとんどの車に該当する症状で、一度も交換歴がなければ交換が必要なタイミングです。また、インテークマニホールドのガスケットを交換する際は、同じようにガスケットが劣化していることが多い、ロッカカバーガスケットやウォーターポンプなどの同時交換も推奨しています。



●ファンベルト交換

1994年 E-LH40D


ファンベルトは、クランクシャフトの回転から動力を得て、自動車を動かす為に必要となるエンジン機構(オルタネータ、ウォーターポンプ、エアコンコンプレッサーなど)を駆動させるベルトです。ベルトはゴムでできており、エンジンルーム内の熱や経年劣化によって変形したり、ひび割れが発生します。このまま使用しているとゴムが裂けて、動力を得て稼働していた他のエンジン機構が停止し、走行不能になる危険性もあるので注意が必要です。ファアンベルトが劣化してくると異音が発生したりする場合もあるので、自覚症状がある方は予防も踏まえ、早めに交換することを推奨します。



スターターモーター交換

1993年 E-LH38D


この車両は突如エンジン不動に陥りレッカーにて入庫しました。長年交換されていないスターターモーターが持つリスクやこれまでの傾向からレンジニアスの商品車では過去2年以内に交換歴がなければ必ず交換している部品です。エンジンを始動するためには外力によってクランクシャフトを回し「吸気、圧縮、燃焼、排気」という各工程をエンジン内部で成立させなければなりませんが、その外力となるのがスターターモーターです。まさに名前の通りエンジンのスタート役を担っています。エンジンのON/OFF回数によって個体差もありますが、パーツの平均的な寿命は約10年10万km程度です。エンジン始動の回数が多ければ多いほど部品の劣化や磨耗も早まります。クラシックレンジローバーの場合オイル漏れがスターターモーターを腐食することもありますので注意が必要です。劣化症状としてはエンジンのかかりが遅くなるなど毎回確認できるポイントなので、症状にも気づきやすいかも知れません。突然エンジンがかからなくなることもあるので、劣化症状が出たら早めの交換を推奨します。



 

●冷却水ホース交換

1993年 E-LH38D


クラシックレンジローバーの冷却水ホース交換です。冷却水ホースはクーラントを循環させるために必要な部品ですが、ゴム製のため経年劣化により、ホースが変形し、そこからクーラント漏れを引き起こす危険性があります。深刻な場合には劣化によってホースが突如抜け、多量のクーラント漏れを起こし走行不能になることや、エンジンのオーバーヒートを引き起こす場合もあるので注意が必要です。ホースはエンジンルームを開けると目視で確認できるので日常点検で次のポイントを確認して見てください。①サブタンクの冷却水量は減って無いか?②ホースが変色していないか?③ホースの付け根部分から漏れ跡は無いか?④ホースに膨らみや変形は無いか?その他、クーラントが漏れていると甘い香りがするので匂いでチェックする事も大事です。劣化症状があれば先延ばしにせず、早急な交換を推奨します。



●フューエルポンプ交換

1993年 E-LH40D


クラシックレンジローバーのフューエルポンプ交換です。フューエルポンプは燃料をガソリンタンクから汲み上げエンジンに送る役割と燃料タンクのレベルゲージ(ガソリン残量)を計る役割を果しています。このパーツが故障すると自動車はエンジンを始動することができなくなります。今回もエンジンストールによりレッカーで入庫しましたが、エンジンストール前にはエンジンの始動が悪い、信号待ちでエンストしそう、走行中も加速しにくいなどフューエルポンプの劣化症状が出ていたようです。パーツの平均寿命に差があるのもフュールポンプの難しいところで普段からクルマの状態に注意を払い劣化症状が出てきたら早めの交換をお勧めします。フューエルポンプは正常に動いていても、燃料タンクのレベルゲージが故障し正常に作動しない場合もあります。燃料を入れても燃料タンクのレベルゲージが動かないという症状もありますので、合わせてチェックしていきたいポイントです。



●フューエルレギュレーター交換

1993年 E-LH40D


クラシックレンジローバーのフューエルレギュレーター交換です。レギュレーターは燃料ポンプが送り出すガソリンを一定の燃圧になるよう調整の役割を果たしています。アクセルを踏んでいる時も、アイドリング時も燃圧を一定に保ち、アイドリング時の場合は燃料の消費が少なくなる為、余分なガソリンを燃料タンクへ送り返します。またエンジンを始動していない時でも、常に残圧を保持し、いつでもエンジンをスムーズに始動することができます。当然ながらレギュレーターが劣化してくると燃圧を保持できず低下してしまう為、エンジンの始動に時間がかかるなどの症状が出てきます。クランキングの状態が長くエンジン始動までに時間が掛かっている車両などはレギュレーターが劣化している可能性があるので、早めの交換を推奨します。