クラシックレンジローバー整備事例
〜本来の安心感と、至上の走行感を維持するために〜
●ブレーキキャリパー交換
1994年 E-LH36D
ブレーキキャリパー内に取り付けられているブレーキパッドはブレーキを踏むたびに回転するブレーキローターを挟んで摩擦によりブレーキを掛けますが、回転しているローターを挟む瞬間にパッドがキャリパーの内側に接触します。長年使用していると、このパッドの接触により少しずつキャリパーの内側が伸びてしまい、その影響でブレーキパッドに遊びができてしまいます。するとブレーキを踏むたびに「カキン」と言うような異音が発生する原因となるのです。ブレーキを踏むたびに異音が出ている車はブレーキキャリパーに問題がある場合があるので点検をお勧めします。
●エアスプリング交換
1993年 E-LH40D
エアースプリングはゴム製のため熱や寒暖差など、経年劣化によりエア漏れを引き起こしてしまいます。エア漏れを起こしたまま乗り続けると、今度は空気を供給するエアーコンプレッサーに過負荷がかかり故障する危険性もあるので、気付いたらなるべく早めに交換が必要です。季節にもよりますが極端なエア漏れが無くても、駐車後8時間で2cm以上車高が落ちるようであれば、どこからかエア漏れしている可能性があるので、日常点検としてお勧めします。
●ドラックリンクボールジョイント交換
1994年 E-LH40D
ドラックリンクはステアリングの動きをタイヤに伝える役割を担っており、片側はステアリングギアボックス付近に、もう片側は車輪の内側あたりに取り付けられています。ドラックリンクの先端にはボールジョイントと呼ばれる人間の関節のような役割をするパーツが取り付けられていますが、経年劣化によりガタが発生します。その状態で乗り続けるとステアリングが安定しない、異音が発生するなどの症状が発生し、またボールジョイントのブーツが破れていると車検も通らないので、劣化している場合は要交換ポイントです。
●トラックロッドボールジョイント交換
1994年 E-LH40D
トラックロッドとは左右の前タイヤに繋がる一本のロッド(棒)で、ロッドの端にはボールジョイントがあり、その上にはカバーとしてブーツと呼ばれるものが付いています。トラックロッドの役割は直進走行の安定性を保つことで、車検を通す際に必ず必要なパーツです。トラックロッドが劣化してくるとブーツが破れ水分が侵入しボールジョイント部分に錆が発生します。錆によってジョイント部分が固着しステアリングを切った際や段差を越える時など異音やガタつき原因となります。ブーツに切れが入っていると車検も通らないので、異音等が発生している場合は早めの交換をお勧めします。
●エアサスペンション コンプレッサー交換
1994年 E-LH40D
コンプレッサーはエアサスペンションに空気を供給するため取り付けられており、流れとしては、コンプレッサーが空気を吸入しエアラインを通じて、各サスペンションに空気を供給しています。このコンプレッサーが故障すると空気を吸入できないため、各サスペンションにも供給できなくなり、その結果、車高の調節ができなくなります。この状態でもリザーバータンクに空気が残っているため、すぐに車高が下がることがありませんが、乗り続けると車高が落ちてしまい、さらにそのまま乗り続けると、路面や段差の衝撃を緩衝できないため他の機関へ負担がかかり劣化を早める原因となります。コンプレッサーに限らず、エアサスペンション関係に不具合が出た場合は、走行できるからと先延ばしにせず、早めの点検と交換を推奨します
●ハイトセンサー交換
1994年 E-LH40D
クラシックレンジローバーのエアサスペンションの設定は5段階あり、アクセスモード、スタンダードモード、ハイモードと高速走行用のハイウェイモード、悪路などで車が乗り上げてしまった時に四輪が伸びるエクステンドモードとそれぞれ車高が変わります。その車高の高さを監視しているのがハイトセンサーです。ハイトセンサーはエアサスペンションを更生する部品の一つで、車両の各タイヤ付近に取り付けられており、常時車高を監視しています。車高情報はエアサスECUに送られ、今度はその情報をもとにバルブブロックにエアーの供給や排出の指示を出すことで正しく車高を制御します。ハイトセンサーが壊れていると、正しい情報が得られないため指示を出しても車高の制御ができなくなってしまいますので、その場合は早めの入庫と部品交換をお勧めします。
●足回りリフレッシュ作業
1995年 E-LH36D
足回りのリフレッシュ作業です。足回りの緩衝材(段差などの衝撃を吸収する部品)が劣化してくると乗り心地に影響が出てきます。段差を越える際の衝撃、細かな路面の凹凸、横ぶれ、ロールが大きいなど様々な症状です。レンジローバー本来の乗り心地を取り戻すため、前後左右のラジアスアームブッシュとショックアブソーバーを4本交換。ラジアスアームは前後左右に2本ずつ取り付けられている部品で、自動車の直進安定性を保つ重要な部品です。ショックアブソーバーも前後左右に2本ずつ取り付けられており、主に段差を越える際の衝撃を緩衝する事や、ロールを抑える役割も果たしています。部品を変えた後は、ワクワクしながら試運転。路面や段差からの衝撃やロールも抑えられ乗り心地も改善されました。長年乗ってきて乗り心地に不満が出てきた場合にはオススメの作業です。
●ショックアブソーバー交換
1993年 E-LH36D
クラシックレンジローバーのショックアブソーバー交換です。ショックアブソーバーは前後合わせて4箇所に取り付けられている部品です。ショックアブソーバーの主な役割は走行中に路面から受ける衝撃を緩衝し和らげること、またカーブを曲がった時、発車、停車した時など自動車が遠心力により傾きますが、その傾きを和らげゆっくりと元に戻す役割も担っています。ショックアブソーバーが劣化してくると乗り心地に影響が出ます。今まで気にならなかった段差での衝撃を顕著に感じるようになったり、カーブを曲がる際に今までよりもロールが気になるなど相当のストレスです。一番足回りで効果を実感しやすいパーツでもあるので、足回りのリフレッシュをご検討している方にはお勧めの作業です。
●Aアーム、ブッシュ、ボールジョイント交換
1993年 E-LH36D
クラシックレンジローバー、Aアームのブッシュ、ボールジョイント交換です。このAアームはリアアクスル(後輪の車軸)から、車両中央程度まで英語のAの字の様に取り付けられている部品です。先端部分にはボールジョイントと呼ばれる可動式の緩衝材が、Aの字の下、二カ所部分にはそれぞれブッシュが取り付けられており、自動車のロールを抑える役割など果たしています。ボールジョイントにはブーツと呼ばれるカバーが付いていますが、劣化によりブーツが裂け、中のグリスが飛び出し、そこへ水や埃が入ることで錆が発生しボールジョイントが固着、結果的に異音の発生などの原因となります。段差を越える際に「ガコ」というような異音が毎回発生していれば交換のサインですので、早めの交換を推奨します。また、Aアームのリフレッシュは走行感にも大きく影響するため、乗り心地を改善したいという方にもオススメです。
●フロントスイベルハウジング グリス交換
1993年 E-LH36D
クラシックレンジローバーのスイベルハウジング グリス交換です。スイベルグリスはスイベルハウジング内にある金属同士の磨耗を軽減する役割を果たしています。スイベルハウジング内にはCVジョイントが取り付けられており、ドライブシャフトの動力を車輪に伝える重要な役割を担っています。通常はスイベルハウジング内にスイベルグリス(かつてはオイル)が注入されて金属同士の磨耗を軽減するようになっていますが、グリス漏れ防止の役目を果たしているスイベルオイルシールの劣化により少しずつグリスが漏れてしまいます。その結果グリスが無くなり過度な磨耗が進むことによって、異音の発生や酷い場合はCVジョイントが破損してしまうケースもあるので注意が必要です。また原則としてグリス漏れを起こしている車両は車検を通すことができないので、二年に一度の車検のタイミングで状態を確認し問題があれば交換を推奨します。
●前後ブレーキホース交換
1995年 E-LH36D
クラシックレンジローバーの前後ブレーキホース交換です。レンジニアスでは車検で入庫したほとんどのクラシックレンジローバーオーナーへ推奨している整備なので、作業頻度も当然高くなります。ブレーキホースはマスターシリンダーからブレーキキャリパまでブレーキフルード(オイル)を運搬するための大切なホースです。ブレーキフルードは途中までブレーキパイプ(鉄製)内を通り運搬されますが、ブレーキキャリパ近くの末端部分では足回りの動きに柔軟に対応できるようホース(ゴム製)が使われています。通常約4年で交換と言われているブレーキホースですが、レンジニアスではこれまで見てきたクラシックレンジの傾向から2年に一回の交換を推奨しています。表面が劣化していれば交換のサインとして分かりやすいですが、目視では確認できないホース内部が劣化し詰まりやホース自体が脆くなり突如破損する危険性もあります。ブレーキホースの破損はブレーキ制御の不能を意味しますので、数年間交換歴の無い自動車は早めの交換をお勧めします。
●リア ラジアスアームブッシュ交換
1993年 E-LH40D
クラシックレンジローバー、リアのラジアスアームブッシュ交換です。ラジアスアームは自動車の直進安定性を保っている部品ですが、ラジアスアームの末端にはブッシュと呼ばれるゴム製の緩衝材が取り付けられています。このブッシュ部分が経年劣化してくるとラジアスアームも本来の役割を果たすことができなくなります。その結果、自動車が左右どちらかに流れやすくなるなど直進安定性を欠く原因となりますので、劣化症状のある方は交換をお勧めします。
●ブレーキキャリパー オーバーホール
1994年 E-LH40D
クラシックレンジローバーのブレーキキャリパーオーバーホール(以下、OH)です。ブレーキキャリパーの役割は、キャリパー内のピストンがブレーキフルードによって押し出され、押し出されたピストンがブレーキパッドを押し出し、その押し出されたパッドがブレーキディスクに当たる摩擦によって自動車は停車することができます。まさにブレーキの要と言っても過言ではありません。OHをする主な目的はピストンについてるピストンリングがゴム製で劣化してしまう為です。ピストンリングが劣化するとピストンの戻りが遅くなったり、戻らないといった症状が出てきます。するとブレーキパッドもディスクに張り付いたままになりブレーキを踏んでいないのにブレーキ音がしたり、劣化が進むとピストンシールが破損し、その隙間からブレーキフルードが漏れ走行不能に陥る場合もあります。ブレーキは自動車にとって非常に大事な機能ですので症状が出てきたら早急なOHをお勧めします。